弐瓶勉の魅力

漫画家、弐瓶勉の魅力についてご紹介します。
代表作にはBLAME、バイオメガ、シドニアの騎士などがあります。

特徴としては、高度に科学技術が発達した世界で、寡黙な主人公が孤軍奮闘するSFものが多い傾向にあります。最近は絵のタッチがポップかつシンプルになりつつありますが、以前は非常に線の多く、緻密な描写を得意とする漫画家でした。弐瓶勉の魅力は、この緻密な描写にあります。

 先ずは「建物」について。建築・設計の学があるため、物語には超巨大建造物が登場することが多々ありますが、登場人物との対比で、いかにそれが巨大であるかを上手く表現しています。次に「映画的構図」について。彼の描く絵の構図は、非常に映画的です。

場面が切り替わるシーンや、同じ場面で複数のコマを描く際にその卓越した才能が発揮されており、物語を流れる様に読むことができ、また、読者をその世界に引き込みます。

3つ目は「絵の情報量」です。彼の描くコマの中には非常に沢山の情報や伏線が隠されており、それが物語を読み解く上で重要な意味を持ちます。恐らく彼の美学なのでしょうが、弐瓶勉の描く漫画の中で、その世界の設定や状況を事細かに説明してくれるキャラクターは、ほとんど居ません。

一般的な漫画であれば、例えばある不思議な能力を持った主人公が居れば、必ずと言っていいほどその傍に一般人がおり、主人公の奇妙な行動や能力に驚き、それを探求し、説明してくれます。

デスノートの夜神月とリューク、シャーマンキングの麻倉葉と小山田万太が、分かり易い例でしょうか。しかし、弐瓶勉の漫画の中にはそれが居ません。ではいかにして物語を読み解くのか。

そのキーになるのが各コマに描かれた様々な情報です。一見しただけでは分かりませんが、よくよく目を凝らしてコマを観察してみると、それを発見することができます。

1回目よりも2回目、2回目よりも3回目といった調子で、何度も読んでいくうちに「あ、なるほどそういうことか」という発見があり、読者を驚かせてくれます。

そしてそれが、私の感じる弐瓶漫画の真骨頂でありその最大の魅力なのです。言葉で語る必要はない。漫画家なら絵で語れ。私には、彼がそう言っているようにも感じます。

この傾向が強いのはBLAME、アバラ、バイオメガ(初期~中期)です。一読の価値ありです!ぜひ、弐瓶ワールドに一度触れてみてください。